スルーパスとは何か基礎から分かる解説

スルーパスは、サッカーやフットサルでよく使われるパスのひとつです。初心者でもイメージしやすいように、その基礎からくわしく解説します。
スルーパスの意味と由来
スルーパスとは、味方選手の前方スペースに出すパスのことを指します。単に足元に送るのではなく、相手ディフェンスの間や裏へとボールを転がし、走っている味方が走り込んで受け取る形が特徴です。英語の「through pass(スルーパス)」が語源で、「通り抜けるパス」という意味合いが込められています。
このパスは、相手の守備陣形を崩すきっかけを作りやすい方法として多くの場面で活用されています。相手選手の間を通す巧みさと、パスを受ける側と出す側の連携が求められるため、技術と判断力が問われるプレーです。
スルーパスがサッカーで重視される理由
サッカーやフットサルのようなチームスポーツでは、相手守備陣を効率よく突破することが得点チャンスにつながります。スルーパスは、この突破を可能にする大事な手段の一つです。守備ラインの隙間や裏にボールを送り出すことで、味方選手がフリーな状態でボールを受けやすくなります。
特にゴール前の混雑した状況や、相手が組織的に守っている場面では、単純にボールを回すだけでは崩しきれません。そこで、スルーパスによって突然守備を切り裂くようなプレーを生み、得点につながる決定的な場面を作り出します。
スルーパスと類似パスの違い
サッカーやフットサルにはいくつかのパスの種類がありますが、スルーパスと特に混同されやすいのが「サイドパス」や「縦パス」です。サイドパスは主に横方向へ送るパス、縦パスは相手ゴール方向へ進めるパスですが、スルーパスは「スペースを狙って味方が走り込みながら受ける」ことが特徴です。
また、ロングパスやワンツーパスとも異なります。ロングパスは長い距離を一度に運ぶパスですが、スルーパスは距離よりもタイミングと相手守備の間を狙う点が大きな違いです。下記の表に主なパスの違いをまとめます。
パスの種類 | 目的 | 特徴 |
---|---|---|
スルーパス | 裏のスペース攻略 | 走り込む味方に合わせる |
サイドパス | 攻撃の展開 | 横方向に送る |
ロングパス | 距離を一気に稼ぐ | 長い距離を蹴る |
スルーパスが効果的な場面と使い方

スルーパスは状況に応じて使い方が変わります。ここでは、効果的に使えるタイミングやポイントについて分かりやすく説明します。
ディフェンスラインの裏を狙うタイミング
相手ディフェンスが前に出てきた瞬間や、守備の間に隙間ができた時は、スルーパスを使う絶好のタイミングです。守備ラインの裏に味方が抜け出す動きを察知し、ボールをそのスペースに送り込むことで、一気にゴール前まで攻め込めます。
特に、相手がコンパクトに守備をしている時などは、一瞬の隙をついてパスを通すことが鍵となります。相手選手がちょっと位置をずらしただけで有効なスペースが生まれるので、そのタイミングを逃さずに出すことが大切です。
味方の動き出しを活かす方法
スルーパスは、味方選手の意図した動き出しと組み合わせることで最大の効果を発揮します。たとえば、味方がディフェンスの背後へ素早く走り出す動作(これを「抜け出し」と呼びます)に合わせて、絶妙なタイミングでスルーパスを出すことが求められます。
このとき、出し手は味方のスピードや走る方向を見極める力が必要です。一方で、受け手はオフサイドにならないようにタイミングを工夫しつつ、パスの意図を読み取ることが重要となります。お互いの意思疎通が、スルーパス成功のカギです。
オフサイドとの関係性を理解する
スルーパスを使う際に気を付けたいのが、オフサイドというルールです。オフサイドとは、攻撃側選手が相手ゴールに最も近い位置でパスを受けた場合に適用される反則のことです。そのため、スルーパスはオフサイドになりやすい場面でも使われるため、細心の注意が必要となります。
受け手となる味方は、ディフェンスラインと自分の位置関係を常に意識しながら動き出すことが不可欠です。パスを出すタイミングと、走り出す瞬間を合わせることで、オフサイドを避けながらチャンスを作ることができます。
スルーパスを成功させるためのポイント

スルーパスを成功させるには、単にボールを蹴る技術だけでなく、状況の判断やチームメイトとの連携が欠かせません。ここでは、そのための具体的なコツを紹介します。
視野の広さと状況判断力の重要性
スルーパスは、相手ディフェンスの位置や味方の動きをよく見て、最適な瞬間に出すことが大切です。視野が広がることで、どこにスペースが生まれやすいか、どこに味方が走り込もうとしているかをすばやく察知できます。
また、状況判断力も求められます。無理にスルーパスを狙ってボールを失ってしまうと、カウンター攻撃の原因になりかねません。そのため、攻撃の流れや相手の守備の様子を見ながら、リスクと効果を見極めてパスを選択することが重要です。
パス精度を高める練習方法
スルーパスの精度を上げるためには、普段からの練習が欠かせません。主な練習方法には、以下のようなものがあります。
・動いている味方に対し、タイミングを合わせてパスを出す
・コーンやマーカーを使って狭いスペースを通すパス練習
・ゴール前でスピードを落とさず合わせるシュート練習
これらの練習を繰り返すことで、試合中でも自然に精度の高いスルーパスを出せるようになります。ポイントは、「味方が受けやすい位置にボールを出す意識」と「蹴る強さやコースの調整」です。
受け手との連携を深めるコツ
スルーパスは出し手と受け手の息が合ってこそ成功します。試合や練習の中でお互いのプレースタイルやクセを理解し合い、どんな動きにどんなパスがほしいかをすり合わせておくことが大切です。
また、声かけやジェスチャーなどでコミュニケーションをとることも効果的です。特定の合図を決めておくことで、プレー中にお互いの意図を伝えやすくなります。こうした連携の積み重ねが、より確実なスルーパス成功につながります。
プロ選手に学ぶスルーパスの極意

プロのサッカー選手たちは、スルーパスをどのように活用しているのでしょうか。ここでは、実際の事例や戦術を参考に、その極意を紹介します。
名手に共通するスルーパスの特徴
世界の名選手に共通して見られるスルーパスの特徴は、「精度の高さ」と「タイミングの良さ」です。たとえば、相手ディフェンスのわずかな動きに反応し、ほんの一瞬で正確なパスを出す選手が多く見受けられます。
また、自分だけでなく味方の動きや相手守備の全体像も常に把握している点も共通しています。これにより、相手の意表を突いた決定的なスルーパスを生み出すことができます。
試合で実際に見られる活用例
プロの試合では、スルーパスが決定的なゴールシーンにつながる場面が多く見られます。例えば、ゴール前でディフェンスラインの裏へ走り込む味方に対し、絶妙なタイミングでパスを通すことで、相手ゴールキーパーと1対1の状況を作り出します。
また、サイドから中央へのスルーパスによって守備を崩し、シュートにつなげるパターンも多く見られます。こうした実例を見ることで、スルーパスがいかに試合の流れを変える力を持っているかを実感できるでしょう。
スルーパスを活かす戦術とチーム作り
効果的なスルーパスを活用するためには、チーム全体で戦術を共有することが大切です。たとえば、攻撃時に味方がどのタイミングで抜け出すか、どこにスペースが生まれやすいかを事前に明確にしておくと、スムーズに連携できます。
また、ミッドフィルダーやフォワードだけでなく、ディフェンスやゴールキーパーもパスの意図を理解しておくことで、全員が連動した攻撃を展開できます。練習時からスルーパスを意識した動きや声かけを積み重ねることで、チーム全体の連係力が高まります。
まとめ:スルーパスの基本と実践ポイントを押さえてプレーを進化させよう
スルーパスは、サッカーやフットサルの攻撃を大きく進化させるプレーです。基礎を理解し、タイミングやスペースを意識した使い方を身につければ、得点チャンスも格段に増えます。
パスを出す側も受ける側もお互いの動きを理解し、練習やコミュニケーションを重ねることで、スルーパスはさらに効果的な武器となります。今回紹介したポイントやコツを参考に、ぜひ実践で取り入れてみてください。